コンパクト解説「旅の絵本を遊ぼう」4(アメリカ編)
旅の絵本4作目はアメリカ編です。前作の舞台であったイギリスの植民地からスタートして独立。若々しい国家です、とはいえ忘れてはいけないのは先住民の存在です。 文化と自然を楽しみましょう。そして、アメリカと言えば映画です。各シーンに映画の場面がちりばめられています。そのうちどれだけ見つけられるか楽しみです。
「旅の絵本」4
「表紙・裏表紙」
0)旅人は・・・ニューヨークはマンハッタンの摩天楼の中を馬で行きます。
基本的な視点は、セントラルパーク方面から南に向かって見ている配置を基準に描かれているようです。
大都会から始めるというのが、アメリカ編らしいですね。もっとも、大都会の郊外には、大自然が隣接しているのが、安野さんらしいです。
1)旅人の前では新聞(号外?)を配っている人がいます。何が起こったの か?
2)星条旗のビル 旅人の目の前には、独立13州を象徴する赤と白のストライプと、現在の州の数を表すスターが描かれています。青地に描かれる星は50の州の数を表します。
3)キング・コング 旅人の後方のビルの屋上にいます。1933年に作られた映画からですね。配っている号外は『キングコング』の出現についてでしょうか。
キング・コングは人間の都合でもてあそばれる自然を象徴しているように思います。映画の最後ではエンパイヤステートビルに登っていましたが、今登っているビルは??
4)エンパイヤステートビル 題字の右側に描かれています。 高さ443mは、当時世界一位だったクライスラービルを抜いて長く世界一高いビルでした。マンハッタンを代表するラウンドマークですね。そして、アメリカを象徴するビルですね。キングコングもこのビルに登りました。日本の特撮映画なら、東京タワーの役回りですね。Empire State Building写真
4)パンナムビル 題字の左側に「PANNAM」と記されたビルがあります。アメリカを代表するパンアメリカン航空の持ちビルで、マンハッタンのランドマークの一つであったのですが、湾岸戦争後の航空業界の苦境の中、1991年に倒産して、ビルも売り払われてしまい、メットライフ(Met Life)ビルとなっています。第4巻ができたのが1983年まだパンナム航空も元気でした。Met Life Building写真
5)世界貿易センタービル エンパイヤステートビルの奥に、霞むように描かれているツインタワー 。417mの建物の上にさらにのびるアンテナ(尖塔部)を加えて528mになります。この高さは、それまでの世界一の高さを誇っていたエンパイヤステートビル(443m)を抜いて、当時(1973年)世界一になりました。設計は日系アメリカ人のミノル・ヤマサキでした。
2001.9.11の同時多発テロによって今ではその姿を見ることができなくなってしまいました。
6)外輪船 題字左上の海上に描かれた船は外輪船のようです。その昔、ニューヨークを訪れた船ということでしょうか。
7)自由の女神 ヨーロッパからアメリカを訪れた移民の人たちがニューヨークで最初に見るのがリバティー島の自由の女神。ということで、外輪船のすぐ近く、背表紙に出るように、描かれています。自由の女神といえばアメリカの象徴ですが。元々は、アメリカ独立100周年を祝ってフランスから贈られたものです。
ちなみに、リバティー島はニューヨーク州ではなくニュージャージー州にあります。
8)クライスラービル 裏表紙に回り込んで、パンナムビルの左にそびえています。建設当時は自動車のクライスラーのビルだったようです。このビル当初高さ283mで世界一でしたが、直後にウォール街にウォールタワーが高さ284mで完成。そこでビルの上に36mの尖塔と追加して319mにして世界一を確保。ところが、翌年(1931年)にできたエンパイアステートビルに世界一の座を奪われました。
クライスラービル写真
9)裏表紙の真ん中下のビルに、ANNO 1983と記されています。ANNOは、安野さんの意味と西暦の意味を兼ねています。そして、1983はアメリカ編の出版の年というわけです。安野さん各巻に潜り込ましています。
10)吊り橋 海をまたぐ橋が見えます。雰囲気は、サンフランシスコ� ��ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)でしょうか。
マンハッタンから見ることのできる吊り橋なら、マンハッタン島南端付近とブルックリン区を結ぶブルックリン橋(Brooklyn Bridge)(全長1,834m、中央径間は486m)あるいはマンハッタン橋(Manhattan Bridge)(全長 2,089 m )との可能性が高いと思います。さらに、細かく位置関係を考慮に入れるとウィリアムズバーグ橋(Williamsburg Bridge)と考えるのが最も妥当のように思います。
11)ナイアガラの滝 海のはずなのに何となく川のように見えて・・・ナイアガラの滝が出現です。安野さんらしい見事なだまし絵ですね。
12)滝のそばには小屋が建っています すごい水音とやら水しぶきやら大変な環境でしょうね。
「扉」
サイロの見える牧場地帯を旅人が馬で行きます。二人の子どもが旅人を見送ってくれます。アメリカといえば大都会ですが、国土のほとんどは田舎です。その田舎を大切にするのが安野さんらしいです。1巻と2巻と同じように、鏡の絵になっています。
シーン1西海岸(p1〜2)
0)旅人は 船でやってきました。3巻のイギリスからやってきたのですから東海岸のはずなのですが・・・ぐるーっと回って西海岸側です。旅人の進行方向を自然にするために西から東へ向かう旅にしたようです。旅人は、東から西へ向かう開拓者達とすれ違うことになります。
1)氷原を行く犬ぞり アラスカも合衆国の大切な州の1つ。そ� ��にある犬ぞりとくれば、アメリカ先住民の1つイヌイット(エスキモー)の犬ぞりと言うことでしょう。
2)サーファーと海水浴客が旅人に手を振っています
この島は、合衆国のハワイ州をイメージしているのでしょう。
3)フラダンスをおどる人たち
ここにも、アメリカ先住民と言うことになります。ハワイと言えば、フラダンス。楽器はウクレレのはずですが、大きさはギターっぽいですね。
5)カヌーをこぐ3人の人
この人達はハワイの人でしょうか。
あるいは、アラスカ、ハワイときたのですから、カリブ海にある自由連合州プエルトリコの先住民をイメージしているのではという説もあります。
シーン� �上陸(p3〜4)
0)旅人は サンフランシスコ郊外にある小さな漁港にやってきました。早速、旅の友になる馬を手に入れたようです。ついでに、これから行く道について情報収集もしています。
1)お母さんと山羊をつれた子どもがいます。
近くに郵便受けがありますが。少し家から離れすぎています。
この少年は、映画『シェーン』(Shane)にでてくる少年ジョーイを感じるのですがいかがでしょう。とするとバケツを持った女性は母のマリアンで、旅人と話しているのが父のジョー・スターレットというわけです。そして、旅人は、シェーンの役回りというわけですが。いささか妄想気味ですか??ただ、安野さん『シェーン』がお気に入りで、この後にも何度か出てきます。
7)つり竿を持った老人が骨だけになった大魚を引きずっています。そして、子どもが付き添っています。これは、アーネスト・ヘミングウェイの『老人と海』(The Old Man and the Sea)からでしょう。安野さんは、この話が好きなんでしょうね。第3巻にも出てきました。
8)浜に小舟が2艘あげられています。一艘は、旅人の乗ってきた船。一艘は老人の船でしょうか。
9)魚屋さんの向こうの家は?壁にある丸いものは??車輪でしょうか、なら車屋さん。それともバラ窓でしょうか?田舎の家にはふさわしくないようですが。
15)子どもが立っている家は、2階が随分せり出しています。雨よけには良いけど、構造的には心配ですね。
19)岬の岩場で一人で釣りをしている老人(?)がいます。これも、『老人と海』の老人を連想させます。
20)旅人の向こうに熊がいます。グリズリーベア(ハイイログマ)のようです。ヒグマの仲間 で、肉食傾向の強い、強力なクマです。家畜を襲うこともあり、おそれられていましたが、現在のカリフォルニアでは絶滅しています。ですから、ヨセミテなどに出てくるクマは、ブラックベアで、比較的おとなしいクマですね。映画『グリズリー』のイメージでここに出てくるのでしょうか。
21)クマの左には、トーテムポールが立っています。先住民が自らの部族を象徴する動物が彫られています。人と動物をつながっていると考える、先住民文化の象徴ですね。
22)橋が架かっています。こちらは間違いなくゴールデンゲートブリッジ(金門橋)でしょう。アメリカ西海岸のサンフランシスコ湾と太平洋が接続するゴールデンゲート海峡に架かる吊り橋です。主塔の間の長 さ(中央径間、支間)が1,280メートル、全長2,737メートル。主塔の高さは水面から227メートル。1837年の完成時から1964年まで世界最長の橋でした。今でも、美しく観光名所です。その一帯は国立公園に指定されています。
23)霧の向こうには、サンフランシスコの街が見えています。
24)三角形にとがった建物は、トランスアメリカ・ピラミッド・ビルです。48階建てで高さ256m、サンフランシスコのシンボルですね。
シーン3 石油採掘(p5〜6)
0)旅人は、乾燥地帯の原野を悠然と行きます。
1)左上 3人のネイティブアメリカン(アメリカインディアン)が馬に乗ってゆきます。この3人次のシーンにもあらわれます。なにか、元ネタがありそうですが不明です。
この一帯、白人が現れる前のアメリカ先住民の生活を表したもの・・とも考えましたが、コロンブス以前に新大陸に馬はいませんから・・・イギリスからの植民が始まる前ですかね。
あるいは、チェロキー族等の強制移住を象徴しているのかも
2)ティピーが3つ描かれています。平原「インディアン」の組み立て式住居です。支柱が円錐状に立てられていて、テントの中央には柱がなくて、� �ん中で火をたくことが可能です。煙などは中心の柱が交差するところから抜けていくのです。なかなか優れもののテントです。元々幕はバッファローの毛皮で作っていたようですが、後には布を使うようになります。絵のテントは、布を使っています。そして、ティピーにはバッファローが描かれています。
3)バッファローが4頭います。
狩猟を中心とするネイティブアメリカンは、バッファローと共にあったといえます。白人によって、バッファローが絶滅されることで、伝統的生活が不可能になってしまいます。
4)リンゴを持って、木の苗を指さしながら女性と話している人がいます。
この人は、ジョン・チャップマンです。通称ジョニー・アップルシー� ��。りんごの木を植えた人として、伝説上の実在人物です。
リンゴは育ちやすく収穫しやすい作物なので、キリスト教の宣教師であったアップルシードは、、西部各地を回って苗木を提供して回ったのだそうです。その姿は、麻布のコーヒー豆の袋を身にまとい、ブリキの鍋を頭にかぶった裸足の男とあります。安野さんの絵では、スーツを着ていて宣教師らしいですね。
彼は、人だけではなく全ての生き物に対しても大きな愛を持って接していて、開拓民はもとよりネイティブアメリカンにも慕われていたそうです。40年後の1845年、インディアナ州、フォートウェーンで亡くなりました。
5)丸太小屋に住む開拓者の生活が描かれています。
これは、ローラ・インガルス・ワイルダーの物語『大きな森の小さな家(Little House in the Big Woods)』の挿絵からです。
この話を元に作られたアメリカのTVドラマが『大草原の小さな家』です。
6)小屋の前ではバターを作っている女の子がいます。ローラです。
7)木に何か差し込んで、樹液を採集しています。これは、カエデの木から甘い樹液を集めているのです。
8)小屋の左側で、木の間に大きな鍋をつるして煮詰めています。これは、先ほどの樹液を煮詰めてメイプルシュガーを作っているところです。
右の絵はCurrier & Ivesによる『Maple Sugaring』という絵です。同じようにメイプルシロップを作成中です。
安野さんの絵は、鍋を木と木の間に渡した棒に吊していますが・・・木が傷んでしまいそうです。
10)女の人が何か塔のようなもののところで何かしています。お母さんが肉の燻製を作っているところです。
11)カエデの木の下にとても小さな家があります。これは、バージニア・リー・バートンの絵本『ちいさいおうち』からです。
丘の上に建つ小さなおうち・・・しだいに周囲が大都会になって、ビルの谷間に埋もれてしまいます。
そして・・・・
12)バスケットボールをしている若者達がいます。
バスケットボールは、1891年にアメリカのJ・ネイスミス博士によって考案されたスポーツです。
ところで、このゴールポストやけに高いです。この高いゴールポストにたいそうなほどジャンプしようと思ったら、とんでもないことです。そんなにジャンプしてないとすると、ずっと向こうでジャンプしていることになります。安野さん得意のだまし絵ですね。
13)バスケットボールを見ている3人は、開拓時代の服装ですね
14)小屋で洗濯物を干しています。女性の所のドラム缶などは、調理用でしょうか?
15)高い井戸が設置されています。石油掘削用 の井戸だと思います。右の絵は、古い時代の採掘用の井戸です。
16)旅人の手前には 幌馬車で旅している人が、調理中です。何かの映画のワンシーンかもしれません
西部開拓者の一人と考えればいいのかも
開拓時代f調理道具類についてはこのHPを(英語です)
シーン4モニュメントバレー(p7〜8)
0)旅人は 西部劇の舞台として有名なモニュメントバレーにやってきました。
メサ mesaといわれるテーブル形の台地やさらに侵食が進んだビュート Butte (残丘)といわれる岩山が点在していて、まるで記念碑(モニュメント)が並んでいるような景観を示している。赤ぽいのは、鉄分を多く含み酸化鉄の色です。
1)前のシーンにも登場した3人のネイティブアメリカンが、子どもと夫婦(?)と子馬を連れて旅しています。何か物語がありそうですが・・・不明です。ここは、ナバホインディアンの居留地になっていて、ナバホの人たちによるツアーがあるようなので(ジープを使うそうですが)、このツアーのイメージなのかも。
2)手前のMerrick Buteと呼ばれるビューとの上でカメラを構えている人がいます。このビュートをこの位置から見るポイントを映画監督のジョン・フォードにちなんで、ジョン・フォードポイントというので・・・ジョン・フォードが映画を撮っているところとも思えますが、描かれているのはムービーではなくスティール写真用のカメラなので、風景写真家のアンセル・アダムスかもと言うことです。
3)たくさんの人が集まって葬儀の最中です。
これは、映画『シェーン』からです。開拓者の仲間のトリーが、ならず者に殺されてしまい、その葬儀の悲しみのシーンです。少年ジョーイの愛犬もしっかり描かれています。
バックに、『シェーン』の舞台になったワイオミング 州にあるグランドティトン国立公園の、ティトンの山並みがモニュメントバレーの中に見事に潜り込ましてあります。
ところで、原作の小説『シェーン』もあるようで、映画と小説をあわせて解説した、HPがあります。
興味深い内容です。
4)星条旗を立ててラッパを吹いてセレモニーをしている騎兵隊の人たちがいます。
これは、映画『駅馬車』(Stagecoach)のシーンからのようです。
ナイアガラは、重要な記録を下回る
シーン5 アラモ砦(p9〜10)
0)旅人は アラモ砦のあるあたりに来ました。メキシコからの独立のために悲劇的な戦闘のあった場所です。ジョン・ウエインが1960年に制作、監督、主演した『アラモ(THE ALAMO)』は、この戦いを描いたものです。
ということで、テキサス州周辺のようです。ここでも、開拓者の生活、さらには先住民の豊かな生活が繰り広げられています。
1)左上 赤土でできた住宅があります。ネイティブアメリカンの1つプエブロ族の建物です。
アメリカインディアンといえば、シーン3にあるようなティピーに住んで移動しながら狩猟採集生活をしていた人たちという印象が強いと思いますが。実際にはあの広大な大地で、気候風土の多様性は日本を遙かにしのぐわけですから、生活様式も色々です。プエブロの人たちは、定住し農耕をおこなっていた民族です。プエロブの人たちは、その中に25の部族が含まれ、言語で分類しても6つ に分かれます。
3)家の周りにある4つのドーム状のものは、イグルータイプの釜です。
右の写真は、1992年世界遺産に指定されたプエブロ・デ・タオスのものです
4)家の脇のベンチには、3人のおばあさん(?)が座っています。右端のおばあさんが抱いているのは土器でしょうか。釜が目の前にあるので、粘土をこねてつくっているところかも。
6)機織りをしている人がいます。布か絨毯か?
機織をしているところといば、プエロブ族ではなくナバホ族の物語ですが、絵本『ブランケットになったやぎ』があります。
8)一行の1人が、帽子を脱いで先住民にいろいろ教わっているようです。この先の様子や道のことでしょうか。
9)犬を連れて歩いている人がいます。右手は何かかついでいるようですが何でしょう。ライフル銃??
10)黒い犬とあひるが話しているようです。これはマージョリー・フラックの絵本『アンガスとあひる』からです。
こいぬのアンガスは、見るもの、嗅ぐもの、何でも知りたがります。なかでも一番の関心は、庭の生垣のむこうから聞こえる、鳴き声です。いつもはつながれているアンガスですが、ある日スキを見て外へとび� �し、いつも気になっていた鳴き声の主、あひるたちを追い回します。ところがあひるたちの強烈な反撃をくらい、家の中に逃げ帰り、しばらく何も知りたくないと思うのでした。
11)家の塀にペンキを塗る少年達がいます。マーク・トウェインの『トム・ソーヤーの冒険(The Adventures of Tom Sawyer)』からですね。絵はノーマンロックウェル(Norman Rockwell)の挿絵で岩波少年文庫の上巻の表紙になっている絵をもとに描かれたものです
前日のケンカのお仕置きに、命じられた長い塀のペンキ塗り、トムは早くもうんざりしているのですが、通りかかったベンに、この作業がいかに楽しく芸術的で価値のあることか自慢して、じらしにじらしてついにリンゴの提供の変わりに「しぶしぶ」させてあげると言うことにしてしまいます。以後、ベンが飽きたら次々にやってくるわんぱくどもを次々口車に乗せて、それぞれから宝物を代償として取り上げながら、仕事をさしてあげる訳です。ペンキが無くなり、塀を3回通り塗り終わった時にはたくさんのお宝を手にしていました。下の絵は、トムが手に入れたお宝の数々です。
別の巻でも出てきたのですから、アメリカ編では当然出てこなければならないでしょう。安野さん自身が「トム・ソーヤーとハックルベリーを描かないとアメリカを描いた気にならない。」とおっしゃっていたとか。
トムソーヤの冒険のファンのHPです
12)家の裏では、ベッキーとの恋はうまくいかないし、良心の呵責に悩まされるしで、元気のなくなったとトムにポリー伯母さんはペインキラーという火の出るような薬を飲ませています。右の絵も、ノーマンロックウェルの挿絵です。
13)左下の建物ですが、これはミズーリ州のハンニバルという町にあるマーク・トウェイン(Mark Twain)の少年時代の家と博物館です。
白い建物の方が家でマーク・トウェインは4歳から18歳までこの家で育ちました。この白い家には実際にも塀があり白いペンキで塗られています。
博物館のHPです。
19)柵の中には、小さな花と蝶と子牛がいます。マンロー・リーフの絵本『はなのすきなうし(The Story of Ferdinand )』からです。
11)テーブルに皿を並べて食事の用意をしている人がいます。パーティの用意のようです。『シェーン』の中に独立記念日を農夫仲間で祝うパーティがありました。
12)牛を囲いの中に追い込んでいる様子を見ている女性と子どもがいます。
腰に手を当てている子どもは、映画『シェーン』のジョーイではないかと思います。
となると、目の前のカウボーイはあこがれというよりは、悪徳牧畜業者のライカー一味ということですから、腰に手を当てて怒っているんですね。
13)小屋にたくさんつるしてある黄色のものは、トウモロコシでしょうか。トウモロコシは、先住民が栽培していて、新大陸から世界に広がった食料ですね。
15)足を組んで椅子に座った男性に、女性が何かしています。散髪かひげそりでしょうか?
映画『シェーン』で、酒場でけんかをしたシェーンと夫のジョー・スターレットに奥さんのマリアンが、 棒のようなもので傷薬をつけてあげるシーンがあります。何故か映画でも薬を塗るとき首の回りに布を巻いていました。この時のシーンからと思われます。映画では室内でしたが・・・。
16)動く木馬に乗った子どもを、お母さんが押して乗馬の練習をしています。子どもは馬に乗れるようになるのでしょうか。
17)カウボーイが投げ縄で牛を捕まえようとしています。上手く捕まるでしょうか?
18)上部の建物は、テキサス州、サン・アントニオの町の教会です。アラモの戦いではアラモ砦となりました。
アラモ砦に変わった旗が翻っています。これはテキサス共和国の旗のようですね。
テキサス共和国(R epublic of Texas)は、メキシコ合衆国のコアウイラ・イ・テハス州のうち現在の米国テキサス州およびその周囲の地域が分離独立して短期間(1836年 - 1845年)存在した共和国。米国への併合により消滅した。
19)砦の前に黒い服を着た人女の人とカウボーイハットの人がいます
黒い服の人は聖職者ではないでしょうか。砦は、もともと教会ですから
20)砦の前に、鹿皮の服を着て鉄砲を持った人がいます。子どもが紙切れを出して、サインをねだっています。
アラモの戦いで中心的に活躍して、アメリカでは国民的英雄になったディビー・クロケットでしょう。彼はテネシーの人で、下院議員にも当選した人だったのですが、メキシコ領であったテキサスに移り、アラモ砦に応援に駆けつけて、メキシコ軍の攻撃の前に全滅したわけです。映画ではジョン・ウエインが演じていました。
左の写真は、ディビー・クロケットです。
21)砦の左側の川では、ゴールドパンを使って砂金とりをしている人たちと、それを見ている人たちがいます。砂金取りは、こんな感じの絵があったような気がしますが、どうでしょう。
シーン6OK牧場の決闘(p11〜12)
0)旅人は いままさに決闘が始まろうとして� �OK牧場の近くにやってきました。
1881年10月26日、アリゾナ州トゥームストーンのO.K.コラル(家畜置き場)近くの空き地で、ワイアット・アープ保安官らを始めとする市保安官たちと、クラントン兄弟をはじめとするカウボーイズ(無法者集団)がおこした銃撃戦です。アリゾナなので、旅人は少し西に戻ったようです。
決闘はその間わずか1分足らず!のこの事件に基づいてできた映画が1957年の『OK牧場の決斗(Gunfight at the O.K. Corral )』というわけです。このほか、42年に 『Tombstone, the Town Too Tough to Die 』、46年に『荒野の決闘』、67年に『 墓石と決闘』、71年に『ドク・ホリデイ』、93年に『トゥームストーン』 、94年に 『ワイアット・アープ』そのほかTVシリーズもあって・・・アメリカ人はこの銃撃戦がことのほか好きなようです。
右の写真は『ドク・ホリデイ』からです
1)左上 4人のガンマンが並んで建っています。 こちらがワイアット・アープ側だと思います。
2)幌馬車の所に3人のガンマンがいます。こちらがカウボーイズ側だろうと思います。まだ、撃ち合いは始まっていません。これまでのいきさつがありますから双方にらみ合って、緊張感が高まっている所です。
考えてみれば、『OK牧場』でも『シェーン』でも、カウボーイは悪役になっていますね。「インディアン」にしても「牧畜業者(カウボーイ)」にしても、前からいる側が悪役にされ、後から来た側が正義?になっているような。
3)右の建物の外に立派な椅子が出ています。そしてその後方の壁には何か丸いものがぶら下がっています。 これは何なんでしょう?
4)左手に何か棒状のものを持ち、窓から左足を出している人がいます。乗り出した足の所には何か板のようなものがあります。
これは一体何をしているのでしょうか?決闘関係者?何か別の話でしょうか??
『トムソーヤの冒険』の挿絵でした。(右図ノーマンロックウェルの挿絵です)10)でハックに誘われたので、墓場へ行くことになります。夜中に、ハックが猫の鳴き声で呼びに来ます。トムが、これに応えながら、窓から脱出する場面です。
5)女の子と男の子が決闘の様子を見ようと屋根の上に上がっています。
6)手前の家の屋根の上にライフルを持った男が2人います。決闘の場所から離れすぎているようにも思いますが、� �らの視線からすると、決闘の関係者のようです。カウボーイズ側ということになるのでしょう。
7)窓の鉄格子から棒を差し出して、落ちている鍵をとろうとしている人がいます。OK牧場の決闘にはこんなシーンは無かったと思うので、何か別のお話のようです。
今にも鍵に届きそうですが、3次元的に位置関係を認識すると、届くわけが無いですね。安野さん得意のだまし絵です。
8)複葉機を前に二人の男が何か話しています。
ライト兄弟だと思います。当時のアメリカの科学者は、新聞等で「機械が飛ぶことは科学的に不可能」といってたそうです。まあ、感覚的にはとても良く理解できますが・・。
初飛行の動画です
「ライト兄弟の� ��密」のHP が興味深いです
9)犬がアヒル二匹に追いかけられています。前のシーンにも出てきた『アンガスとあひる』からです。
この後、アンガスはこれに懲りて・・・、「そして、とけいのきざむ、いち に さんぷんかん、なにごともしりたいとおもいませんでした」となるわけです。
10)男の子が2人何かしています。これも『トム・ソーヤの冒険』からですね
トムと宿無しハックですね。ハックの持っているのは、いぼを取るまじないに使う猫の死骸、それを興味深そうに見ているのがトムです。この後、この猫の死骸を墓場に持っていったことから、殺人事件の現場に遭遇してしまいます・・・。
11)p11右下 看板にお菓子の絵が描いてあるので、ケーキ屋さんでしょうか。
ところで看板に書いてあるのは・・・
一番右がクッキーで、真ん中がバースデーケーキで、問題は左側です。なんでしょう。下の方に棒のようなものがのびていますが??綿菓子?あるいは焼きマシュマロ??・・・マシュマロを木の枝につけて火であぶると、表面が指呼し茶色く焦げてきて、中はトローリ溶けていて、とても甘くて美味しくなります。甘いの我好きなアメリカ人好みです。ついでに板チョコで挟んで食べたりして・・・こいつは驚異的に甘いです。
15)竜と子どもの看板があります。この絵は、ルース・スタイルス・ガネット作の童話『エルマーのぼうけん(My Father's Dragon)』のシリーズからです。挿絵はスタイルスの母親ルース・クリスマン・ガネットによって描かれています。
16)前記の店の看板にはパイプも描かれています。全体に何を意味する看板でしょう。何か、安野さんの隠された意図があるのだろうと思うのですが??
17)店の品揃えは(あるいは置いてあるのは)・・・
バケツ、樽、ドラム缶、石油ランプ、網籠入りのガラス瓶、セメント(小麦)?袋、荷車、丸椅子、肘掛け椅子、牛乳缶、ハリケーンランプ、農業用のフォーク、やかん?、油そそぎ(水差し)?・・・何の店というコンセプトでしょう???
18)サンタクロースがトナカイを連れています、お店の人と交渉しているのは、そりの購入でしょうか?、修理でしょうか??
by forest-door さん このサンタクロース、赤い服がトレードマークですが、もともと最初から赤い服を着ていたわけではないそうです。 コカコーラ社がコカコーラカラーである赤と白をつかってサンタクロースを描いたイラストを1931年に広告として使って以来、そのイメージが定着してしまったというわけ…。赤い服が当たり前としか思っていませんでしたが、そんないきさつがあったとは、おそるべし、コカコーラの宣伝力です… |
20)大きな乗合馬車があります。馬はつけられていませんが、駅馬車用でしょうか
21)フォークを持った男の人と女の人が並んで立っています。壁の石垣が何か意味ありげに描かれています。庭の奥にある鉢植えのようなものはサボテンでしょうか。なにか意味ありげですが、何を意味するのか不明です。
22)隣の家では、やたらたくさんの猫がいます。
ワンダ・ガァグの絵本『100まんびきのねこ』からです。
いやもう、むちゃくちゃのストーリーだと思うのですが・・・子どもはとても喜ぶのです。こういう独創的な発想を大人が表現できるというのがすごいですね。
23)真ん中上 EAST'S と看板を掲げた酒場があります。
東って何を意味するのでしょうか
東の意味はわかりませんが『シェーン』に出てくる酒場という見方はどうでしょうか?
26)男性が何か足下を見ています。小さな白い犬が立ち上がって芸をしています。
27)酒場の隣はBAKERYとあるので、パン屋さんです。
と言うことは積んである袋は小麦袋と言うことでしょう。
『シェーン』の設定なら、酒場の隣の雑貨屋と言うことでしょうか
28)店の前で椅子に座ったおじいさんは、店番?旅人が行くのを見ています。
そういえば、『シェーン』でも店の前に椅子を出して座� �ていたおじいさんがいたように思います。
30)郵便局の前でくつろいでるカウボーイは、ツルハシを持っていますが、どこの工事をしているのでしょう
『シェーン』の設定なら、酒場の前にたむろするカウボーイたちというところでしょうか。
32)レストランの前では、カウボーイが投げ縄で見事に牛を捕まえたところです。
この人、前のシーンの同じ位置で追っかけていました。
33)何故かあわてて歩いている(走っている)男の人がいます。どうしたのでしょう
34)『100まんびきのねこ』の家を不思議そうにのぞき込んでいる犬がいます
35)前のシーンの同じ位置で乗馬の練習をしていた親子。ここでは、本物の馬に乗れるようになっています。
36)ロバを連れた郵便屋さんが手紙を配達しに来ています
37)棒を持っている人は、家の壁にCARPENTERとありますから、だいくさんなんでしょう。そういえば、板がたくさん立てかけてあります。荷車も、柱や板を運ぶためでしょう、長めに作られています。椅子は、大工さんが作ったのか、休憩用か
37)右腕を曲げた細めの人と、太めのおじいさんが話をしています。
シーン7蒸気機関車(p13〜14)
0)旅人は 蒸気機関車が止まる駅のある町にやってきました。この鉄道は、ここまでで終わるようです。終着駅というわけです。機関車は西部開拓時代の蒸気機関車。
この型は、1880年(明治12年)の北海道初の鉄道の開業にあたり、アメリカから輸入された蒸気機関車です。この機関車は、よくない線路でも十分使えるように設計されていて、開拓時代のアメリカでそして北海道で大活躍したわけです。都合8台輸入されていて、義経とか弁慶とかニックネームが付けられています。日本では、明治13年〜大正13年(1880−1924)活躍しました。7100形と分類されます。
2)ツルハシを持って立つ3人の作業員がいます。この人達、前のシーンでOK牧場でワイアット組として立っていた4人の内3人と重なるようです。
7)手前には、カバンを持った女性と杖をついた男性がSLを見ています。
15)新聞を読んでいる人を白い犬が見上げています。この犬は、ひょっとして前のシーンで酒場の前にいた白犬でしょうか
16)駅舎の屋根は十字型に直行していて、まるで、キリスト教の教会のようです。
20)ホームから馬車を見下ろして話しかけている男の人がいます。この人、前のシーンでは、立ち上がっている白犬を見ていた人ですね。
25)木箱に入った荷物と、柳行李?のようなものもあります。一輪車の周りにある車輪のようなものは、一体なんでしょうか。
31)ホテル(HOTEL)の裏手には、スヌーピーや、チャーリー・ブラウン、ルーシーなどチャールズ・シュルツによる新聞連載の漫画「ピーナッツ」のキャラクターたちがいます。
32)ホテルの隣は、散髪屋さんですね。ということは、前に立っている白衣の人は理容師さんですね。列車� �乗る人たちは、かなり服装にも気を配っているようですから、旅行関係のお客さんも多いんでしょうね
33)隣は宇あの絵が看板になっていて、VETERINARY HOSPITAL〜とあるので、動物病院のようです。ということで、前に立って腰に手を当てている人は獣医さんでしょう。
34)動物病院の裏手には、棒の上に高く小さな家のようなものが立っていて、梯子もついています。これはなんなんでしょう??何かネタがありそうですが、不明です。
35)動物病院のすぐ脇に犬小屋があります。この小屋の住人と思われる犬が、口を開けて吠えているようです。
36)動物病院の壁には「WANTED」と指名手配のポスターが貼ってあります。この顔が、マーガレット・ミッチェルの名作『風と共に去りぬ(Gone With the Wind)』の映画でクラーク・ゲーブルが演じたレット・バトラーに似ているようにも見えます。
風と共に去りぬ公式Webサイト
37)床屋さんの前を帽子をかぶった2人が走っています。誰かを追いかけているようにも見えます。
どのようにニューヨークで結婚許可証を取得する
38)2人の前方には前のシーンで同じ場所で、なぜか走っていた人が、今度はカバンを持って走っています。
これは、37)の2人に追いかけられているのではないかと思うのです。そして、逃走の原因は動物病院の壁に貼られたお尋ね者の当人だからそして犬が吠えていたのも、この逃走者に対して・・・というお話を考えつきましたが、どうでしょう。
39)2頭立ての馬車2台に家財道具を積み込んで行く人たちがいます。『風と共に去りぬ』の一行ではないでしょうか。右の写真のシーンです。旅の絵本では、次に行くシーンは、奴隷労働の場面ですから、この馬車もそちらへ向かっているということ� ��すね。
次のシーンでは、南部の奴隷制度が出てきます。スカーレットも、奴隷の主人でした。旅の絵本でも、後方の馬車には、奴隷とおぼしき黒人が乗っています。
名作ですが、黒人奴隷への差別的表現から、上映がはばかられているとのことです。
40)猫を従え、棒を持ってたくさんのアヒルを追っている女性がいます。
41)大きな草刈り鎌を持った人がいます。この人は、前のシーンの同じ場所で、太った人と話していました。
この人、右のミレーの「刈り入れ」絵からだと思います。1巻のシーン8でも出てきました。
42)馬の蹄鉄を直しています。その馬にさわっている女の子がいます
43)蹄鉄を直しているのを見ている紳士がいます
44)白塗りの家があります。これは、詩人ロングフェローの家ではないかと思われます。とても、よく似ています。ただ残念なことに、ロングフェローの家はマサチューセッツ州にあるので、旅人の位置と違いすぎるという点です。
もっとも、そんなこと関係なしにここに描かれた可能性もあるのではないかと思います。
紹介のHP
45)荷車のところに男の子と女の子がいます。女の子の方が何か手に持って差し出しているように思うのですが。
47)牛がいます、先ほどの農具や荷車ひくのに使っているのでしょう
48)少年が犬とたわむれています。
『シェーン』(Shane)にでてくる少年ジョーイとその愛犬ではないでしょうか。
49)建物の上にあるのは風見でしょうか?風力計のようにも見えます。
50)壁につるしてある、?マークのようなものは何でしょう。
51)揚水用の風車があります。自然エネルギー利用です。
53)木陰で、少年達がくつろいでいます。これもノーマンロックウェルの挿絵で、『トムソーヤの冒険』です。
恋人のキャッシーに嫌われてしまって落ち込んだトム、お母さんにクリームを盗み食いをしたと疑われ(冤罪)挙げ句の果てに鞭打たれて嫌気のさしたジョー・ハーバー、浮浪児のハックの3人です。それぞれ、南� �海岸の暴れ者トムソーヤ、人殺しのハックルベリー・フィン、海の恐怖ジョー・ハーバーと、てんでに海賊を気取っています。筏に乗ってミシシッピー川の中のジャクスン島に筏で乗り付け、何日も野宿をします。残された家族や街の人は、てっきり3人とも死んでしまったと、葬式の準備まで始めてしまいます・・・
ホームシックに陥った、ジョーとハックはもう家に帰ろうとします。トムは、2人の気持ちをを引き立てようと、たばこの吸い方をマスターしようと言い出す。トムとジョーにとって初めてのたばこです。
シーン8アンクルトムの小屋(p15〜16)
0)旅人は 綿畑で黒人奴隷による綿花つみの作業が行われています。自由の保障こそアメリカという 国の建国の理念・合衆国憲法の理念からして、あってはならない奴隷制ですが、南部には厳然として存在していました。(第二次世界大戦後も差別は残り、キング牧師等を中心に壮絶な公民権運動が繰り広げられるわけです)
旅人が通りかかったのは、まだ奴隷制度が残る頃のようです。そんな中、ハリエット・エリザベス・ビーチャー・ストウ(Harriet Elizabeth Beecher Stowe:ストウ夫人)は『アンクル・トムの小屋 (Uncle Tom's Cabin)』を、著します。この本はアメリカの良心を揺り動かし、奴隷解放戦争(南北戦争)の、動機の一つになります。南北戦争中の1862年にハリエットがエイブラハム・リンカーンと会ったとき、リンカーンは「あなたのような小さな方が、この大きな戦争を引き起こしたのですね 」と挨拶したのだそうです。
ここでは、アンクルトムの小屋にちなむエピソードが多くちりばめられています。
1)左下 男の子と女の子が寄り添っています。『トムソーヤの冒険』のトムと憧れのベッキーです。
仲直りをしたトムとベッキーは友だちと洞窟探検に行きます。ところが、洞窟の中で迷ってしまいます。けなげにベッキーを励ますトムですが、内心どきどきです。
4シーン連続で、この位置でトムソーヤの冒険からのエピソードが続きましたが・・・これで終わり??
2)子どもが薪を集めおじいさんが火をおこしています。これは、ユリー・シュルヴィッツの絵本『よあけ』からです。翻訳も良いですね。たとえば・・・
おーるのおと、しぶき、/みおをひいて……/そのとき/やまとみずうみが みどりになった。
読み語りで、子ども達に読んでいても、自ずとゆっくりそして静かな声になります。
3)少し離れて、池の上のボートの2人もこの『よあけ』からです。
『よあけ』は、その美しさだけで素晴らしい絵本で。
その静かな語り口も素晴らしい。その素晴らしさを十分に承知した上で、深読みをしてみたいと思います。
安野さんがこのページに『よあけ』を選んだ、願いのもう一つの側面・・・。夜明けは、島崎藤村の『夜明け前』を想起させます。暗い夜明け前の世界でも、静かに時は過ぎ、時がくれば夜明けを迎える。今がどんなに苦しくとも、あけない夜はない、夜明けは必ず訪れる。
奴隷制の夜も、いつの日か明ける時がくる。そんなメッセージも、込めておられるよう� �思うのです。例によって、わたしの思いこみといえるかも知れませんが、『よあけ』に明日への希望を感じる読者は多いようです。
7)椅子に座って子熊を抱いている母さんクマがいます。これは E・H・ミナリックの『こぐまのくまくん』からです。絵は モーリス・センダック が描いています。センダックの絵は後でも出てきます。
中には4つのお話が入っていますが、いずれも明るくユーモラスで暖かく、子どもの心理をうまくとらえる内容です。
8)運河にボートが浮かんでいます。細長い形で、イギリスで産業革命期に発達したナローボートです。建設費を節約するために、運河の幅を狭くしそのために細長い船体になっています。また、運河の上にかける橋の高さをあまり高くしなくて良いように、船の高さを抑えてあります。本場イギリスでは、鉄道や車の発達で一時は衰退していましたが、最近では観光用に復活しているようです。アメリカではどうなんでしょうか?
イギリスのナローボートの旅の様子が紹介してあるHP
上記から第96便〜第100便を見るとナローボートや運河の事がとてもよくわかります。
9)ボートの上にバケツを持った人と杖をついた人が立っています。これは、前のシーンで汽車を見ていた2人と重なります。
10)ナローボートは、昔は人力や馬の力で引いていました。ここでも、2頭の馬で引いています。馬に乗っている人は、前のシーンでもこの位置で、馬に乗っていました。
11)馬の前にカバンを持って立っている女性は、向こうの川の方を見て、とても驚いている様子です。13)の様子を見て驚いているのですね。
12)運河の閘門(ロック)でハンドルを回している人がいます。運河は、その水位を調整するためにこのようなロック を設けています。今、左側の水位が高いので、その船を右側に行かせるためには、ここのロックを開けて、水を下流に流すことで左側の水位が下がって同じ高さになりますから出て行けます。
逆に上流に移動するときには、ロック内に入ってからロックを閉めて、上流側のロックを開けて水を入れることで上流を水面をそろえることになります。
13)川の上を子どもを抱いた女性が歩いています。こちら側では、男の人が手を広げて待っています。これは、奇跡でしょうか。
これは、『アンクルトムの小屋』の有名なシーンの一つです。
主人に恵まれて、奴隷としては幸せな生活を送っていたアンクルトムですが、経済的危機に陥った主人は、トムと女奴隷イライザの幼い息子ハリイを売り払う契約をしてしまいます。息子と引き離されることを知ったイライザは、カナダへの逃亡を決意し、トムを誘いますが、トムは世話になってきた主人に迷惑がかかるからと拒否します。それでも� ��イライザ親子が逃げることには賛成します。
奴隷商人のハーレイから逃げるイライザ母子は、オハイオ川にたどり着きます。川向こうのオハイオ州は奴隷制度の無い州です。しかし、無情にも川には大きな氷の固まりが流れ渡し船が動きません。そうしているうちに追っ手が迫ります。ついに、イライザは意を決して、氷の筏から筏を飛んで行くのです。
14)こちら側にいるのは、たまたま居合わして、イライザの勇気に心を動かされ、手助けするシムズです。
15)向こう岸の左側に、棒を持っている奴隷商人ハーリイと乗ってきた馬(にしては随分小さいですが)、そして後ろの白いシャツの男は、ハーリイの追跡を巧妙に妨害してきた奴隷のサムでしょう。
16)左上 倉� �の前で演奏会です。演奏者のほとんどは黒人のようです。当然ジャズということになると思います。何故か一人、屋根の上で演奏している人がいます。観客もアラブ風の人まで含めて32人熱心に聞いています。
17)右側の倉庫の壁にSIGNSとあります。サインの複数形?何を意味するのでしょうか??何か意図があると思うのですが思い当たりません
18)綿畑では、綿花の収穫の最中です左の『ミシシッピーの綿花プランテーション』"A Cotton Plantation on the Mississippi," by Currier and Ives の絵からです。
巨大な農場の様子です。絵には遠景に、ミシシッピー川を行く蒸気船も描かれています。安野さんはその部分ははぶかれています。安野さんの絵は遠くを小さく描く遠近法を採用されていませんから、絵の遠景が広がるように書き換えられているのがよくわかります。平面から見て上から見たように描くなど、安野さんの頭の中はすごい置き換え装置があるようです。
26)頭に綿を入れた籠を担ぐ女奴隷が二人います
こうして摘んできた綿花の重さが量られます。規定量に達していないと、ひどい目に遭わされます。3番目のひどい主人の下で、トムは体調が悪くて集めきれない人に、自分の摘んだ綿花分けてあげます。それが見つかって、トムが罰を加えることを要求されますが、断固拒否します。
27)乾し草の山?のところに黒く描かれている人はなに、そもそも人でしょうか???
28)煙突のある小屋は、下のポスターに書かれているものとそっくりです。アンクルトムの小屋のようです
29)ということは、脇に綿を入れた籠を置いて座っているのは、アンクルトムでしょうか。
32)親子連れ?3人がいます。奴隷は結婚することが認められています。ただし、できた子どもも主人の「持ち物」です。親と引き離して、売ってしまうことも可能です。ひどいものです。
33)旅人の後ろでは白いドレスの女性と紳士が縦います。この農場の持ち主でしょう。
これも、上記綿花プランテーションの絵に描かれています。それは� ��れとして。
アメリカの印象派の画家、ホイッスラー James Abbott McNeill Whistlerはマサチューセッツ州で生まれています。彼の作品に、『白のシンフォニーNo.1 ― 白衣の少女』があります。41)の黒衣の画家の母の像と対照的です。ということで、安野さんそのことも意識されたのではないかと?
36)倉庫の前で変なのが話していて、ゴミ箱の中からも何かのぞいています。
TV番組『セサミストリート(SESAME STREET)』のキャラクターです。ゴミ缶にいるのがオスカー(OSCAR THE GROUCH) 、あとはアーニー(ERNIE)とクッキーモンスター(COOKIE MONSTER)だろうと思います。
『セサミストリート』の由来は、アラビアンナイト(千夜一夜物語)の『アリババと 40 人の盗賊』の中に出てくる「開けゴマ(open sesame)」からきており、「宝物が隠されている洞窟が『開けゴマ』の呪文によって開いたように、この番組によって子供たちに新しい世界や知識の扉をひらいてほしい」という願いが込められている。というとです。
37)ゴミ缶の後ろに何か丸いものがあります??何でしょう??
38)倉庫の奥から女の子がのぞいています。セサミのキャラクターを気にしているのでしょうね。どんな気持ちで見てるのでしょう。怖いのかな、不思議なのかな、わくわくしているのかな?
ホイッスラーが病気の母を描いた『グレーと黒のアレンジメント 画家の母の肖像』の絵ですね。
ただ、ストウ夫人のイメージも重ねている� ��思います。彼女の写真は、右の写真のように多くの場合黒い服を着たもののようですし、上のポスターのストウ夫人の髪の色が白いですし。
42)後ろの家は、ストウ夫人が夏に使っていた家のように思います。(フロリダにあります)
43)茶色の箱があります。何か書いてあるようにも思えますが、全く不明。この箱はいったい何なのでしょうか。
41)の画家の母の絵を見てみると、額に飾った絵が描き込まれています。ちょうど、この位置ですから、そのつもりでここに書き込んであるのだろうと思います。
44)ニワトリにエサをやっている女の人がいます。それを見ている犬は、ブルドッグのようですが、何か物語があるのではないかと思います。不明。
45)丸い桶のようなものの上にハンドルのついたものがあります。何をする道具でしょうか。
47)女の子がカエルを見ています。
マリー・ホール・エッツの絵本『わたしとあそんで』からです。
「カエルさん、遊びましょ。」わたしが つかまえようとすると、・・・
かえるも ぴょんぴょんはねていってしまいました。
48)馬が二頭います。何もしないのかな??
49)川岸にも『わたしと遊んで』からです。カエルだけではなくて、今度はカメもいます。石垣の石にカモフラージュしているみたいです。
わたしが そのまま 音を たてずに じっとしていると、だあれもだあれも もう こわ がってにげたりは しませんでした。
自然との向き合い方を教えてくれる。そして、人との関わり方であるかも知れません。
50)果物?を籠に入れて担いでいる人と、桶を天秤で担いでいる人がいます。
51)船に乗って、竿を差している人がいます。この人は、前のシーンでは大きな草刈鎌を持っていました。その前のシーンでは太ったおじいさんと話をしていました。
52)棒を持ってアヒルを追っている女の人がいます。この人前のシーンでも同じように猫を連れてアヒルを追っていました。たくさんのアヒルが同じ位置にいますが、半分は水の中ですね。
このシーンは、シーン全体に共通したメッセージがあるように感じます。
アンクルトムは、奴隷という酷薄な運命の中にあっても、神を信じ仲間の黒人を愛し、白人をも愛します。自身の妻や子どもを愛すると同時に主人の子ども達を愛します。
そのことは、白人の子ども達にもしっかり伝わっていて、2度目の主人の娘エバは自身の死の床にあってトムを最も信頼していますし、最初の主人の息子ジョージはトムを救おうと、お金を貯め探してやってきます。トムも死の間際にあって、ジョージが来たことに大きな喜びを感じます。
子どもを抱えて、氷の筏の上を飛び移るイライザは、子どもに対する深い愛と、引き裂かれまいとの強い決意で、文字通り決死的行動にでます。
『よあけ』では、おじいさんと孫との心のつながりがあります。
『こぐまのくまくん』もお母さん熊の子熊に対する深い愛と、子熊の母熊に対する深い信頼を感じます
ストウ夫人の姿とも重ね合わしてある『グレーと黒のアレンジメント 画家の母の肖像』も、画家のホイッスラーと病気の母との深いつながりを感じます。その愛を感じるからこそ、黒い服を着ていても暗くないイメージなのだと思います。
さらに、その思いでシーン全体を見渡してみると
『トムソーヤの冒険』もここでは、トムとベッキーが愛を確認しあっています。
『わたしとあそんで』も女の子と多様な生き物たちとの心の通い合いです。
沖縄はどのくらいです
シーン9 ニューオリンズ(p17〜18)
0)旅人は 南部ルイジアナ州のニューオリンズ(New Orleans)にやってきました。ミシシッピ川の下流に位置し、メキシコ湾に通じる港湾都市です。
「新しいオリンズ」のオリンズとは、フランスのオルレアン(ジャンヌダルクによる解放で有名ですね)の英語読み。と言うことで、もともとはフランス領だったところです。
当時は、奴隷労働によるサトウキビのプランテーションを行っていたようです。さらに、綿花の栽培での奴隷労働と続き、前のシーンのアンクルトムやトムソーヤの冒険でも、たびたび登場します。
2005年のハリケーン「カトリーナ」では、堤防を越えた水が低地に流れ込み、市内の8割が浸水し、市民に多くの犠牲が出ました。もちろんこの絵本が書かれる頃には、そんなこと夢にも思ってなかったでしょう。
01� ��左上 ジャズの演奏をしています。前のシーンでもジャズを演奏していました。ジャス発祥の地で、お葬式でもジャズが演奏されるのだとか。ここでは、黒人だけではなく、白人の演奏者もたくさん加わっています。
02)後ろの建物に「PRESERVATION HALL」と看板が掲げられています。
ジャズを聴くならここと、おすすめのスポット。ドアのデザインもちゃんと表してあります。
02)演奏をしている、右から2人目
ニューオーリンズ出身のルイ・アームストロング (Louis Daniel Armstrong)ではないか?と言う説があります。サッチモ(Satchmo)、ポップス(Pops)という愛称でも知られています。ジャズだけでなく、20世紀を代表するミュージシャンです。
03)演奏を聴いている聴衆は、前のシーンとほぼ同じように並んでいます。確認してみましょう。
13)帽子をかぶった馬が引く観光馬車が通っています。フレンチ・クォーターは、アメリカの観光地の中で、もっとも馬車の似合う街という評価をしている人がいました。町並みを見るのに、馬車の上からがベストなんだそうです。そして、本当に、帽子をかぶせられた馬もいるようです。
14)スケッチブックを持って手を振っている人がいます。顔の一部が描かれています。まつげがつながっていて、大きく長� ��鼻です。これは、前のシーンにも出てきた『セサミ・ストリート』のキャラクターのバートのようです。
15)野鳥をスケッチしている人がいます。この人ジョン・ジェームズ・オーデュボン(John James Audubon,1785-1851)だと思われます。
ハイチ生まれですが、フランスを経て18歳の時にアメリカに渡りアメリカの各地で鳥を写生をしまくったそうで、1821年から1830年までニューオーリンズで暮らし、スケッチを教えていたそうです。
17)シルクハットを看板にした帽子屋さんがあります。帽子屋さんの二階のバルコニー部分には、鉄柵が施されています。この鉄柵は、レース細工が施されています。
フレンチ・クォーターに、このような建物が多くあります。
18)帽子屋さんの軒下で、帽子を売っているのは、上でスケッチブックにも描かれた『セサミストリート』のバートのようです。
19)帽子屋さんの前に車の代を置いて商売しているのは、毛皮ではないで� �ょうか。?
20)車体に「ROMAN CHEWING CANDY」と書いた馬車が有ります。
どうも、ニューオリンズにロマンチューイングキャンディーを作る会社があるようですね。
20)帽子屋さんの左の家の壁に、ANNNO1983とあります。例によって安野と西暦を兼ねた表現です。1983年は、アメリカ編の出版された年。
23)隣の店は丸い看板が掛かりそこにも壁にも何か文字が書かれているのですが、判読できません。
24)店で売られているのは?布でしょうか、ショールでしょうか?
25)買い物をしている女性もショールをかぶっています。このスタイルの女性が街中にあふれています。売っている男性は黒い帽子に黒い服。このスタイルの男性も街中にあふれています。
『クエーカー(キリスト友会)』教徒の人たちではないかと思いました。クエーカー教徒の人たちは、徹底した平等主義の考え方があり、早くから奴隷制に反対� �ていて、アンクルトムの小屋などにも、奴隷の逃亡を助ける人として登場してきます。
しかし、どうもニューオリンズ周辺にクエーカー教徒の人たちが多いという情報がありません。むしろ、次のシーンになるのですがフィラデルフィアに集中しているとのことです。
安野さんは、何か別の理由で、このような服装をした人を多く、このシーンに描かれているのでしょう。その理由にお心当たりの人はおられませんか?
27)その隣のワゴンは、グラスに入ったジュースでも売っているのでしょうか?
32)01)のホールとほぼ同じデザインのドアの前を、随分たくさんの荷物を背中と両手に持った女の人が歩いています。
35)3階建ての家があります。木箱がたくさん置いてありますが、そのうちの2つは、どうも棺桶のように思います。一体何故� �んな所に?
39)その木材の一本を、老人と子どもが二人がかりで運んでいます。前のシーンの『よあけ』の老人と孫ではないでしょうか。日常生活でも協力しあっているようです。
考えてみると、老人と子どもの組み合わせは、シーン2の『老人と海』から続いているんですね
40)ミシシッピー川に怪しげな小舟が浮かんでいます。トム・ソーヤーの冒険がらみかと色々調べましたが?船の舳先に梟のようなものが繋がれているのも??
ビンガム(George Caleb Bingham )の絵『ミズーリ川を下る毛皮商人』からです。ニューヨークメトロポリタン美術館所蔵です。
41)OHAIOと書かれた外輪船が描かれています。船底の浅い川船外輪船です。19世紀と20世紀の前半にミシシッピー川で行われた交易はほとんど、このような船で行われました。今は、観光用に残っていて「ショウボート」と呼ばれているとか。これは、映画『ショウボート(Show Boat)』(1936)が有名になってからとのことです。
OHAIOと名付けられた外輪船があったかは不明ですが、オハイオ川はミシシッピー川の支流の1つです。
外輪船といえば、『トムソーヤーの冒険』の著者マーク・トウェイン(Mark Twain)の本名は、サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(Samuel Langhorne Clemens)です。彼は、このような船の水先案内人をしていました。川の航行では、船底が浅瀬に乗り上げることが心配です。そこで、紐を垂らして水深を測ります。日本でもアメリカでも両腕を広げた長さで水深を表すようで、「尋」(ひろ:a fathom=6フィート)を使います。測深手は水先案内人へ水深が2尋になると『by the mark, twain(2ファゾム:約3.6m)』と叫びます。3.6mより深いと航行に安全で、浅いと危険だからです。マーク・トウェイン(Mark Twain)は、これが気に入ってペンネームにしたそうです。
42)THE RIVER QUEENと書かれたひときわ大きな外輪船があります。
写真は2代目で当時のものではありませんが、いい雰囲気です。
旗がたくさん翻っています。南軍の旗もあるところが南部らしいですね。安野さんの絵では、星条旗の他に鳥の旗が掲げられています。この旗は一体なんでしょう。
ところで、リバークイーンは、アニメの「トム・ソーヤーの冒険」にも出てきました。
ブリック
ミシシッピ川を行き来するリバークイーン号の航海士を勤めているらしい。見習いのマイクに対する指導は厳しいが、優しい一面もある。
マイク
3年前にセント・ピーターズバーグの村を飛び出し船の見習いとして働いている少年。3年前は泣き虫マイクと呼ばれていたが、今では立派な見習いとして成長している。
このマイクって、マーク・トウェインのことかな。
42)船の上に立っている人と、しゃがんでいる人がいます。
43)MISSISSIPPIと書かれた外輪船が描かれています。ミシシッピー川と言うことなんでしょうが・・・。
アニメの『トムソーヤの冒険』では、町にやってくる外輪船の名前が「The MISSISSIPPI」とありました。番組のエンディングの歌のシーンでも「The MISSISSIPPI」がずーと出ていました。
左のイラストは、マーク トワイン リバーボートです。この船がモデルかも。
ちなみに、ミシシッピー川はとてつもなく長く、流域の広い川です。オハイオ川と共に、このシーンはミシシッピー川やその支流のオハイオ川が舞台ということを暗示して� �るのかも。
43)小舟(それでも蒸気船!)に立っている男の人がいます。
これまでのシーンで、おじいさんと話し、鎌を持ち、小舟を操っていたおじさんでしょうか
44)海を向いて荷物を頭に担いだ女性が二人います。小舟のおじさんと話しているように見えます。この二人、前のシーンで同じ所に立っていました。右の人は同じように頭に荷物を担ぎ、左の人は天秤で桶のようなものを担いでいました。
46)2頭の馬が袋に詰めた荷物を載せた荷車をひいています。荷物は、綿花でしょうか?
この2頭、前のシーンでは同じところで、所在なさげに立っていました。仕事ができたようです 。
55)p18の右下 樽を置いた屋台にはOYSTERSと書かれているので牡蠣の屋台のようです。足下に落ちているのは蛎殻でしょう。焼牡蠣で食べるのが一番おいしいように思いますが、ここではどう食べているのでしょう。ちなみに、ニューオリンズの名物の1つに生牡蠣があるそうで、あちこちにオイスター・バーがあるとか。すると、生で食べているのでしょうか。
3人の男たちが食べているのを、子連れのお母さんが見ていますが、注文するのかな。
56)壁に何かポスターが貼ってあります。何か意味ありげです?指名手配?、不明です。
指名手配だとすると、二つ前の蒸気機関のシーンの36)に貼られた指名手配のポスターと同じものだとすると、犯人がこの街に逃げてきているということになりませんか。・・・58)の人かな。
57)フレンチ・クォーターの一角と思わせる建物が並ぶ中でボクシングが行われています。
ニューオリンズとボクシングの関わりは?
プロボクサー ルービン・'ハリケーン'・カーターがいます。ルービン・カーターは1937年5月6日、同じニュージャージー州のクリフトンに生まれています。幼い頃から猛烈な差別に合いながらも、プロボクサーとなりライト・ウェルター級チャンピオンに上り詰めます。それからボクシングのリングネームを『ハリケーン』と名のります。ところが、殺人の冤罪を着せられます。モハメッド・アリやボブディランなどの支援を受けますが、有罪判決。と、およそ20年もの獄中生活を強いられたのち、1985年11月8日、ニュージャージ連邦裁判所で無罪を勝ち取ります。その後、連邦最高裁判所でも無罪となります。
《ルービン・カーター事件》参照
58)左手にチケットのようなものを持って、シルクハットを差し出して、お金のを持� ��た男とやりとりをしています。どうも、賭をしているようです。この帽子を差し出している男は、シーン6(アンクルトムの小屋)とシーン7(蒸気機関車)で逃げていた男ではないかと思います。シルクハットと服装からの連想ですが・・・。
59)屋根の上で4人並んで見物しています。これは、屋根の向こうの地面に座って見ているようにも見ることができます。だまし絵です。
60)テーブルに座っている二人は解説者でしょうか
81)手回しオルガノ(Barrel organ)を回している男がいますが、誰も聞いてくれていません。
82)右上 野球をしている人たちがいます。アメリカ生まれの球技で、国技と言っても良いのでしょう。
83)今まさに44番の選手がホームランを打ったようです。アラバマ州出身の黒人メジャーリーガー、ハンク・アーロン(Hank AARON)です。
84)観客が一斉に上空を指さしています。ホームランボールの行方を追っているのですね。
このシーンを振り替えって見ると
前のシーンでは、アンクルトムの小屋を中心に、奴隷制度の不条理を訴える内容でもありました。その中で、アンクルトムは、白人を上回る人柄で白人を変えてゆきます。しかし、ある意味で白人を上の存在として立て続けます。作品の中では、イライザの夫など、頭脳と技術で主人の白人を遙かに凌駕する存在という設定にはなっていたものの、トム自身は常に一歩引いた位置から、情に訴える姿勢と言っても良いでしょう。
それが、このシーンにくると、奴隷制度は終わっています。しかし、不当な差別は続いています。それに対して、白人を凌駕する力量を示すことで 平等をさらに進めてゆく人たちが描かれています。
黒人の音楽であったジャズが、白人を呑み込み、さらにルイ・アームストロング のように天才的力量で白人を圧倒して引きつける存在があらわれます。
ボクシングのシーンは、ハリケーンだとしてもアリだとしても、酷薄な差別の中で、実力でチャンピオンの座を手に入れます。ボクシングの試合は黒人同士ともとれますが、太った方は白人ととらえることができるかもしれません。そう見ると、黒人のハリケーンやアリが白人の選手を倒そうとしているのかも知れません。そうすると、熱狂している観客は、白人の選手が倒されそうなのを、怒っているのでしょうか。強い黒人選手を受け入れているのでしょうか。観客の後方で腕を組んでいる人の多くはネイティブアメリカンの格好をしている人が多いように思います。黒人だの白人だのと騒いでいることに一線を画しているのかも知れません。また� ��黒い服の人たちも又、派手に騒いでいません。彼らが、クエーカー教徒であるとすると、納得行きます。極めて徹底した平等主義の彼らなら、人種の違いで興奮するのは違うというわけです。本来ならクエーカー教徒の本拠地であるフィラデルフィアには、黒服の人を登場させず、ニューオリンズにこれだけ集中させたのは、安野さんのそんな思いかも知れません。(単なる妄想かも知れませんが)
背番号44のハンク・アーロンも、厳しい差別を乗り越えて、偉大なるベーブ・ルースの記録を塗り替えます。
こうして、彼らはアメリカ社会の中で尊敬を勝ちとり、黒人が哀れみや同情で大切にされるのではない、新しい社会を切り開いて行くわけです。
シーン10フィラデ� ��フィア(p19〜20)
0)旅人は ついに東海岸北部ペンシルバニア州フィラデルフィアにやってきました。
この町は、イングランドで創設された宗教団キリスト友会(Religious Society of Friends)通称クエーカー教の信徒であるウィリアム・ペンが同志とアメリカに渡来1682年、この地に居住区を建設したのが市の起源です。そして、古代ギリシア語で「兄弟愛の市」を意味する「フィラデルフィア」と命名したのです。
18世紀には、北米最大の都市でした。1790年からの10年間連邦政府の首都でもありました。
1)中央にある特徴的な建物は、独立記念館(インディペンデンス・ホール)です。
もともとペンシルバニアの議事堂でしたが、1776年7月4日、13の植民地の代表がここに集まり独立宣言書にサインしたのです。ちなみに、首都であった1790年からの10年間は、アメリカ合衆国議会議事堂として使用されました。議員数が少なかった「元老院」が二階を、多かった「代議院」が一階を議場として使用したことが「上院」と「下院」という語の語源となったのだそうです。
2)独立記念館の前に13人の人が描かれています。これは、ジョン・トランバル(John Trumbull) の絵『The Declaration of Independence.(独立宣言)』からです。
この絵は、通常、独立宣言書に13州の代表がサインしている様子とされているのですが、実は、宣言を議会に提案している委員会の絵らしいです。安野さんはその中から13人だけをピックアップして書かれています。もちろん、13州の署名をイメージしてのことだと思います。
この絵は、1976年建国200年を記念して作られた2ドル紙幣の裏側に取り入れられています。
日本の2000円札と同じで、アメリカでも2ドル札の発行部数は少なく、アメリカに住んでいても、見たことすらない人が多く。中には、存在自体を知らなかったり、都市伝説のたぐいだと思っている人までいるとか。でも実は、1776年の大陸会議ですでに2ドル札は作られていて、以後無くなれば増刷された り、ニューバージョンの発行があったようです。1928、1953と1963年に発行されたものは、現在でも流通していて、これは、大変希少価値があるようです。万一手には入ったら通貨としては使わずに持って置いた方が良いかな。表は現在と同じように第3代大統トーマス・ジェファーソン (Thomas Jefferson)です。裏面はジェファーソン大統領の邸宅モンティチェロ(Monticello)の絵です。世界遺産に登録されています。
トーマス・ジェファーソンは、1775年の大陸会議に参加し独立宣言起草委員としてアメリカ独立宣言を起草しています。
2ドル札について詳しくはこのHPを(英文です)
http://wcdc42.com/
03)独立記念館の向こうに、星条旗を縫っている女性がいます。彼女の名はベッツィ・ロス(Besty Ross) 。独立宣言の翌年1776年にワシントン(後の初代大統領)に、頼まれて作ったそうです。最初の星条旗です。この時の星の数は13個。青地の分部に、星の輪として表されました。
彼女のことについての小論文です
04)鐘を見ている人たちがいます。「自由の鐘(Liberty Bell)」です。その音は、1974年大陸会議の開催を知らせ、1776年7月8日、フィラデルフィアの市民をアメリカ独立宣言の朗読へと召集させたのです。
鐘には「全地上と住む者全てに自由を宣言せよ、レビ記25:10」と書かれています。
その後も、アメリカのそして世界の自由を求める人たちに勇気と希望を与え続けました。キング牧師のI Have A Dream演説の最後に繰り返し繰り返し、「自由の鐘を鳴らせ」と訴えています。
自由の鐘は、鋳造に問題があったのか、写真のようにひびが入っています。当初からヒビが入ったようですが、それをくい止めるために修理されている。その修復の方法は、亀裂の端が広がらないように割れ目に沿って穴を開けていく手法だったようで、写真のヒビもこの修理の結果でもあります。修理はしましたが、ヒビが上部に達してしまい、現在ではうち鳴らすことができなくなっています。
12)p19の右上の建物群もフィラデルフィアのようです。写真のあたりは、建国当時の街並みが良く残っている地域のようです。
13)左上 消火栓を開いて遊んでいる子供達がいます。
16)万歳をしている子のさらに右に離れて、見ている子がいます。この子の足下は、ビルの上になっています。だまし絵ですね。
17)白い下着を吊した店は、下着やさんということでしょうか?店の前には椅子が出ています。
18)馬が粉袋?を積んだ馬車を引いて止まっています。何の店でしょう?
19)シルクハットが看板になり、壁には黒い服や帽子が描かれています。もう一つ白いのは、コップ?それとも白い帽子でしょうか。店の前では二人の男がジェスチャーをつかって話しています。
20)靴を4つも縦に並べた看板があるのは靴屋さんのようです。店の前では3人の男が話しています。一番手前で店の人と話しているのは、ステッキ?を持った警官のようで� �。
24)BANKですから銀行ですね。なんとレストランの屋上から、泥棒が銀行の窓をlこわして中に侵入しています。パレードの最中で、警備が手薄になるのをねらってのことでしょうか。
25)銀行は今日はお休みなんでしょうか、ホットドッグ屋さんが、店を出しています。店の形自体が、ホットドックですね。こんな店が、本当にあるんですね。
LUCKY DOGSというホットドック屋さんのようです。もっとも、LUCKY DOGSはニューオリンズの会社のようなのです。全国展開しているのでしょうか。あるいは、同様な趣向の屋台が別会社であるのかな。
27)パレードが行われています。シーンの状況から考えると独立記念日のパレードでしょう。
28)パレードの警備をしている警官が一人立っています。背後では、今まさに銀行に侵入している泥棒がいるのですが。全く気づいていない様子です。後で、悔しがることでしょうね。
29)パレードの先頭を、星条旗を服にした人が胸を反らして歩いています。
「アンクル・サム(Uncle Sam)」です。アメリカ合衆国を擬人化した架空の人物。United States(アメリカ合衆国)とイニシャルが同じなため、こう呼ばれるのだそうです。
40)パレード見物の手前側、左端、男の人が3人立っています。真ん中の子ですが、この格好を見るとつい、映画『シェーン』にでてくる少年ジョーイではないかと思うのですが。映画のシーンと無理矢理つなげるとすると、独立記念日を祝うパーティーを開拓者達で行っていました。それを見ている、ジョーイと言うことですか・・・強引ですかね。
43)街路樹があります。このシーン全体に同じ木が描かれています。この樹形は、桜の木ではないかと思います。どうもフィラデルフィアには、日本から贈られた桜があるようです。
50)パレードでは、スティックを降る人に続いて、ラッパを吹く3人と 太鼓をたたく人が続きます。靴に何かつけているようですが、これは何?飾りでしょうか。
54)杖を持った白髭のおじいさんと、縦ストライプのスカートをはいた女性。これ、星条旗のストライプを意識してチョイスしたのかな。
59)凧を揚げている人がいます。ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)です。彼は、アメリカ合衆国の政治家、外交官、著述家、物理学者、気象学者です。アメリカ独立宣言の起草委員の一人で、アメリカ独立に多大な貢献をした人です。しかし日本では、凧を用いた実験で、雷が電気であることを明らかにしたことの方が有名ですね。
1752年、雷を伴う嵐の中で凧をあげ、凧糸の末端にワイヤーで接続したライデン瓶により雷雲の帯電を証明するという実験をしました。同時に、雷の電気はプラスとマイナスの両方の極性があることも確認したとそうです。また、避雷針の発明もフランクリンです。彼の墓には、、「この人は天上から稲妻を、暴君から王笏をもぎとった。」と刻まれているのだそうです。
60)フランクリンの足ものとの建物の上にいるのに、芝生の上にいるように見えます。これもだまし絵です。
61)隣の建物の上には、ANNO1983と書いてあります。この本で、3回目ですね。
このあたりの建物は、彼が住んでいた屋敷跡に建てられた「フランクリン・コート(FranklinCourt)」という記念館の様子に似ています。5軒の家が建ち並び、そのうちの一軒は郵便局で、地下は博物館になっていてフランクリンを紹介しているそうです。
62)子ども達が遊んでいます。「とうりゃんせ」ですかね。アメリカだから・・・「ロンドン橋落ちた」かな。
63)観光馬車があります。ここ、フィラデルフィアでも、観光馬車が活躍しているようです。
65)画家の隣りに座っている人は、緑っぽい肌色です。ドラキュラ??
64)と共にアニメ化何かのキャラクターだと思うのですが、不明です。
シーン11マンハッタン(p21〜22)
0)旅人は ニューヨーク マンハッタン (Manhattan)の摩天楼街にやってきました。街は、パレードの真っ最中です。
エンパイヤステートビルから360度の展望写真を見ることができます。
ニューヨーク州南東部のハドソン川下流域にある島です。Manhattanの名はアメリカ先住民のデラウェア語の"丘の多い島"を意味するMannahateに由来するのだそうです。
1)右上(旅人の左後方) アメリカインディアンと白人が何か話しています1613年、オランダ人が先住民であるデラウェア族 (Lenape) からマンハッタン島を購入してニューアムステルダムを建設 しました。
ニューヨーク市旗にはそのことが表されています。
旗の色は、左から青、白、オレンジ色。この3つの色は、オランダの国旗の色がもとになっていて、真ん中には、青色でニューヨーク市の市章が描かれています。
その市章には、最初の入植が始まった1625年を表しています。そして、ニューヨーク州のシンボル鷲(Eagle)、先住民であるネイティブ・アメリカン(Indian)、植民を表す航海器具と水兵(Sailor with navigational tools)、ニューヨーク初の会社「オランダ東インド会社」のシンボルのビーバー (Beaver)、そして初期のニューヨークで盛んであった産業の風車(Windmill)、 樽(Barrel)、花(Flower)が表してあります。
2)左下 パレードの出し物として羽根飾りを付けたアメリカインディアンの像が行きます。
3)ビルの壁に、ラッパを吹きながら騎馬で疾走する人が描かれています。「インディアン」とくれば、騎兵隊ということで描かれたのではないでしょうか?
もう一つのはポニーエクスプレス(Pony Express)という説があります。
by forest-door さん
何なのか分からなかったんですが、この下(左)のポスターの絵にちょっと似ていますね。
これはポニー・エクスプレスの募集ポスターです。ポニー・エクスプレスは西部開拓期に行われた、郵便物を早馬騎手によって運ぶ一種の飛脚のようなものです。ミズーリ州セント・ジョセフからカリフォルニア州サクラメントまで3200kmをわずか10日間で運んでいました。ただ、電信の普及で1年半しか続いていないそうです。
4)ラッパを吹く子、櫛を持ったライオン、セーターを着たゾウ、(ピーナツを持った)クマ、太鼓を持ったカンガルーが行列を組んでいます。これは、マリー・ホール・エッツの『もりのなか』からです。
後で、述べますが、この手前には ニューヨーク公立図書館があります。そして、そこには、ライオンの像があります。ということで、ここにライオンを持ってこられたのでしょう。
5)巨人と巨大な牛の出し物を、それぞれ4人の人が引っ張っています。巨人は、伝説の木こりポール・バニヤン(Paul Bunyan)と彼の青い雄牛であるベイブ(Babe)です。
アメリカ人の空想力が生み出したほら話の主人公。ベイブと共に、アイオワ州やカンザス州を切り開き、ミシシッピー川を掘り起こしたり。
『THE STORY OF PAUL BUNYAN』という本になっています。
6)ライオンの像が2つ、2頭の馬に引かれています。NYPLのプラカードが掲げられています。ニューヨーク公立図書館(New York Public Library)です。NYPLの前には、ライオンの像があります。NYP写真
7)ゾウの鼻にまたがっているのは、エドガー・ライス・バローズの小説『類猿人ターザンの主人公ジャングルの王者ターザン(Tarzan)です。小説も、続編が次々つくられ、映画に至っては、何十本も作られています。
8)ページをまたがって、国連本部ビル(United Nations Headquarters)が描かれています。国連ビル写真
このシーン全体のビル群は、エンパイヤステートビルから見えるビルを基本にして描かれているように思います。国連ビルもエンパイヤステートビルから見ることができるようです。ただし、正面からではなく、遙か遠くに位置します。角度もかなり違います。
9)馬に引かれた山車に、踊っている怪獣がいます。モーリス・センダック(Maurice Sendak)の『かいじゅうたちのいるところ(Where the Wild Things are)』からです。
怪獣にもちゃんと名前が付いていて(作品そのものには名前は出てこないのですが・・関連作品に名前があるのでしょう)、前で頬に手を当てている怪獣がアーロンAARON、後ろにいる赤毛の髪で両手を上げて踊っているのがチッピーTzippyです。
10)怪獣たちの後ろで手を振っているのも、なんだか被り物ですが、何でしょう?
11)山車の横を、鳥の被り物をかぶったのが二人います。後ろは、背中に何かついています。羽でしょうか
12)ラッパを吹いたり太鼓をたたいたり踊ったりしている一段が後ろに続きます。安野さんの別の作品に出てきたように思うのですが、何でしょう?
14)船を載せた山車は、アイリーン・ハースIrene Haasの絵本『わたしのおふねマギーB(THE MAGGIE B)』からです。
ちいさな女の子マギーが、自分の名前の付いた船がほしくて、「船がほしいの、自由に海を走りたいの」と星に願います。願いがかなって弟とふたり海に乗りだします。
15)つづいての山車も2頭の馬に人が一人です。そして、山車に乗っているのは、「旅人」です。
悠々とニューヨークのビルの谷間を進んでいます。
16)鳥と卵を載せた山車があります。馬2頭で引いていますが、その馬の手綱をそれぞれおじいさんが引いています。
鳥と卵は、何を意味するのでしょうか?ライオンの山車の右のビルにも鳥と卵が描かれています。ニューヨーク州の州鳥ルリツグミ (Eastern Bluebird:瑠璃鶫)ではないかと思います。ブルーバードですから、縁起も良さそうです。
絵の鳥は青く描かれていませんが、代わりに同じ山車に乗っている女性の服がブルーです。もっとも卵がそばにあるので、托卵するカッコウかも知れません。ただ、カッコウだとニューヨークとの関係が不明です。
17)大きなリンゴがつづきます。ビッグアップルは、ニューヨークの愛称の1つです。
この由来は、色々あります。ニューヨークとりわけハーレムがジャズのメッカを表す言葉として、ジャズメンに愛用されていたというのが定説のようです。ただ、もっと古くから使われていたという説があります。1921年『ニューヨーク・モーニング・テレグラム』紙に競馬の記事を載せていたジ� ��ン・J・フィッツジェラルド記者が、ニューオリンズで厩舎の人に、「この馬はどこに行くの?」と聞いたところ、「その辺の競馬場じゃないぜ、ビッグアップルを目指しているのさ」と答えたというのです。ニューヨークのレースを目指すことを、大きなリンゴ(褒美)を目指すと読んでいたのです。この説は、1997年ジュリアーに市長によって正式に認可されたそうです。
18)旅人の山車の左上 スカートを押さえている女性がいます。映画『7年目の浮気』のマリリン・モンローです。この地下鉄の通気口に立ち、白いスカートがふわりと浮き上がるシーンは映画史上に残る有名なシーンです。
21)建物を確認しましょう。o)で示した写真は、エンパイヤステートビルから北の方を見たものです。� ��の写真の真ん中手前の角がクリーム色のビルは描かれていませんが、そこから右は、安野さんが右側のページに描かれたものとほとんど重なります。
22)ボンボンで踊っている通りが、マディソン街Madison Aveになります。旅人の山車が行くストリートは東39丁目(E39thSt)にあてはまります。
23)安野さん写真にあるパンナムビル(現メットライフビル)は描かれていませんが、本物の旅人の後ろに描かれたのビルは、写真の青い屋根をつけて横に長いビルと重なります。マディソン街と東42丁目(E42thSt)の交差点の北東にあります。ビルの名称は不明です。
描かれていませんが旅人の居るあたりはパーク街(Park Ave)の東42丁目になります。
24)その手前に見えている細長くて、てっぺんに色々とがったものがついているビルは、東42丁目と41丁目(E41thSt、図書館通り)の間にある 『Lefcourt Colonial Building』です
25)ビルの下には2頭のライオンの像があります。これは、実際には街路を1つ西に行ったところにある、ニューヨーク公立図書館の前に据えられています。パレードのにもこの2頭の山車が出ていました。
26)星条旗を持って馬で行く人の右側に並ぶ大小のビル群も写真の並びと同じです。一番手前の下部の1/3ほどが階段状になっているビルは、『Johns-Manville Building』です。
27)星条旗の人の左手前ひときわ高く三角の屋根をつけたビルも、写真で同じ位置にあります。『Mercantile Building』です。
その奥にある縦に筋が入ったように見えるビルは『THE RKO BUILDING』ではないかと?
28)国連ビルの左側、ライオンの山車が行く道は、五番街(5th Ave)です。マンハッタンを南北に貫く街路です。この街路の東西が分かれることになります。
巨人と牛の山車が通っているのは、巨人が西42丁目、牛が東42丁目ということになります。そうです、巨人の山車(42丁目)と旅人の山車(39丁目)の通りは、実際には直線でいつながっていないのです・・・。安野さんはそれぞれのビル群を南北に平行移動させて、ずれたストーリートをつながっているようにして、さらに五番街とマディソン街の間に、ビッグアップルの街路を含めて、別の所から持って来て、両街路を実際以上に東西に引き離して、どこにも無い街並みを造られたようです。
29)上記のずれを上手く国連ビルで隠してあります。
ちなみに、写真ではほぼ同じ位置に黒色の� �ルがあります。どうも、安野さんはこのビルと国連ビルを置き換えられたのではないかと思います。
30)写真の背の高いビルは、『Fred F. French Building』です。馬に乗った人の絵の描いてあるビルも、左隣のビルです。
そして、写真で手前に、西42丁目の通りをはさんで屋根が見えているのは、NYPLです。ですから、ライオンの山車は、図書館のすぐ近くにあるということになります。
NYP写真
31)NYPLは、安野さんの絵の中には、描かれていないのですが、山車のライオンと25)のライオン像は、どちらも図書館の近くに描かれています。安野さんの描いたこのシーンで対角線上に一番離れている2つの地点が、どちらも42丁目で、東西も街路を1つ違うだけで、実はくっついていることを、安野さんはさりげにヒントを出していたわけです。
もう一つヒントがあります。旅人と旅人の山車も 南北のずれを示すヒントだったわけです。
32)『かいじゅうたちのいるところ』の山車の前の、ビルは、屋上緑地?中庭の緑地?がある所のようです。どこにあるのか不明です。
33)緑地の向こうのとんがった屋根は、どこかの教会だと思うのですが、これも不明です。
34)屋上に星形がある建物は、これもエンパイヤステートビルから見える、『バイアコムViacom』のAstor Plazaです。バイアコムは、アメリカにある巨大メディアグループです。
実際の所在は、七番街とブロードウェイ (Broadway)が交わるあたり。西44丁目と45丁目の通りの間に建っています。隣には、Shubert Theatreがあります。また、45丁目の通りをはさんでお向かいにMarquis Theatreがあります。劇場街 (Theater District)です。タイムズスクエアは、目の前の42丁目あたりです。
35)鳥の絵の描いてあるビルは、五番街の東43丁目にあるビルかも知れません。右の写真に少しだけ見えています。(鳥の絵はありませんが)
36)ターザンの右にある長方形のビルは、五番街の奥の東47丁目のビルだろう思います。右の写真で奥に見えている暗いベージュビルです。屋上の形状が違いますが、たぶんこのビルだろうと思います。
あるいは、NYPLの西42丁目の通りをはさんで斜め向かいにある、左の写真のビルかもしれません。
ニューヨーク州立大学(State University of New York; SUNY)の眼科の入っているW R Grace Buildingのようです。
37)p21の左上のあたりは、ロックフェラー・センター( Rockefeller Center)ビル群であろうと思います。ロックフェラービル写真
とすると、五番街をはさんで、尖塔が見えているのは、50丁目にあるセント・パトリック大聖堂(St. Patrick's Cathedral)ではないかと思います。
大聖堂写真
38)壁にMと大書されたビルがあります。「M」は、安野光雅(Mitumasa)のMでしょう。
47)巨人の向こうで手を振っている女性二人は、NYPLのライオンに向けて手を振っているようです。雌ライオンのほうも、気にして二人の方に目線がいっています。
61)帽子をかぶった吊りズボンの男の子がいます。ひょっとして『シェーン』のジョーイのような気もします。
66)黒服にあごひげの男性が3人います。クエーカー教徒の人たちかな。
70)藤色のドレスを着た人の、隣の男性はまるで肘鉄を食らわせるように、左手を腰にしていますが・・・。二人の間に何が?
79)水色のドレスの人、顔の向きからすると・・・マリリンモンローを見ているような気がします。
80)赤いストライプのスカートに青いシャツは女性は星条旗柄のように思います。、女性版のアンクルサム?両手を上げて声援を送っています。
85)ステッキを持って立つ男性と赤いドレスの少女と藤色のドレスの女性は家族かな
おじいさんと少女とくれば、映画『34丁目の奇跡』の自分のことをサンタクロースであると信じているクリス・クリンクルと、猜疑心が強くサンタクロースなんか信じない女の子スーザンではないでしょうか。
89)最奥部、右手を挙げている人の、前に頭だけ見えている、白い塔のようなものも 、山車かなと思いますが・・・・何でしょう?
※このパレードはどんなパレードがモデルはなんでしょう。マンハッタンでは行われるパレードは、毎週末のように各地で行われ、年間にはなんと300にも及ぶとのことです。
その中でも、最大級のパレードは「メイシーズ・サンクスギビング・デー・パレード」のようです。感謝祭(11月の第4木曜日)にメイシーズ(Macy's) 百貨店の催す、1924年からつづけられているパレードです。たくさんの山車がでて、250万人もの人出だそうです。
映画『34丁目の奇跡』は、このパレードが背景になっています。ちなみに、34丁目のブロードウェイと7番街にかけては、メイシー百貨店があるのですが、エンパイヤステートビルも5番街の34丁目に面しています。東西に少し離れて建っているのです。
ただ、このパレードの目玉は、巨大バルーンのようですがが、どうもその巨大バルーンが見あたりません。その代わりが、90)の風船でしょうか?
多分、特定のパレードということではないのでしょう。
シーン12ウエストサイド物語� ��p23〜24)
0)旅人は ニューヨークマンハッタンのど真ん中にある、セント・パトリック大聖堂(St. Patrick's Cathedral)のある場所にやってきました。安野さんの絵では、緑の中に立っていますが、実際にはぐるりをビルに囲まれている教会です。(St. Patrick's Cathedral)の写真
1)旅人の向こうに飛び上がって、踊っている一段がいます。映画『ウエスト・サイド物語(West Side Story)』(動画とリンクしています)からです。もととは、1957年初演のミュージカル。1961年に映画化されました。どちらも名作です。踊りで、ここは俺たちのなわばりだと、主張しています。
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を、アメリカマンハッタンのウエストサイドに舞台を移し、イタリア系の少年達で構成されているジェット団(Jets)と、最近力をつけてきたプエルトリコ系のシャーク団'(Sharks)との抗争の狭間で苦しむ若い男女の恋の悲劇にしてあります。名作の誉れ高い映画です。アカデミー賞も受賞しています。
2)金網で囲われたバスケットコートでも踊っています。こらも、『ウエスト・サイド物語』からです。
4)背後でスカートを持ち上げて踊っているのは、ダンスホールのシーンです。[America]を歌い踊っています。
映画で「アメリカ」を踊っている場面は、男の子はプエルトリコからアメリカにやってきていやなめにあっていることを強調し、女の子はたちはアメリカの多様な可能性を歌い上げています。安野さんは、女の子たちを描いているので、アメリカの可能性も示したかったのだと思います。
West Side Story - America(動画です)
5)建物には、たくさんお外階段がついています。避難用の階段でしょうか。ここらあたりの町並みは、シーン10のフィラデルフィアの町並みとよく似たように描かれています。
マンハッタンのウエストサイドの様子のようです。
6)壁にSHATKSと書いてあります。もちろん、シャーク団の落書きです。映画の中にもあちこちに出てきます。
7)壁にとがった歯を持つ魚の絵が描かれています。この絵も、映画の中に出てきます。
8)映画の撮影スタッフが描かれています。
カチンコを持っている人、レフ版(反射板)を持っている人 、椅子に座ってたばこを吸っているのが監督さんでしょうか。女性二人は何しているんでしょう。ところで、肝心のカメラは??
10)女性二人が、お巡りさんと話しています。撮影中だからこちらに行かないでといっているのでしょうか?
それとも、非行グループがいるからこちらには行かない方が良いよと忠告しているのでしょうか
11)ここにも踊っている3人。このシーンは上記のポスターになっています。
13)左上、山高帽をかぶった人が、何か抱えています。どうも、板ガラスのようです。そして子どもがそばにいます。チャップリンの映画『キッド The Kid』からです。
子どもがガラスを割って、その後にガラスを持ったチャップリンがやってくるという、商売です。
24)「Holy Bible」(聖書)の看板を担いで歩いている男の人がいます。こういう、デモンストレーションをする人がほんとにいるのでしょうか?
25)教会の前では結婚式です。(正確には、結婚式の後なんでしょうが)安野さんは、どの巻にも結婚式を用意されます。
ウエストサイド物語の二人もこうなれば、ハッピーエンドになったのでしょうが。
ただ、映画の中で、トニーとマリアはブティックで偽の結婚式を挙げました。安野さんは、そのことも意識して、ここに結婚式を持ってきたのではないかと思います。
29)白い帽子に白いドレスの女性と帽子を手に持った男の人が並んでいます。夫婦のようですが、どういう関係でしょうか、新郎か新婦の両親かな?
30)花売りのワゴン車があって、花売り娘はオレンジの水玉の女性に花を売っています。
31)二組のカップルの男性同士が握手をしています。白髭におじいさんなので、新郎新婦の祖父母同士かな?
32)オレンジの服と帽子、白い服と帽子の女性が並んで立っています。なんだか、胸を少し反らしているように思います。子の胸のそらし方が、第1巻に繰り返し出てきた、クールベの「村の娘たち」に様子がにているように思います。
33)泣いている女性を、黒いスーツの人が、馬車の方に誘っています。この女性は・・・、新郎のお母さん?なら、男の人は新郎のお父さんかな。それとも昔の恋人でしょうか?なら、大変な修羅場になってしまう可能性が・・・。
34)新婚旅行用の馬車が待っています。二頭の色違いの馬はどこかで見たような?アンクルトムのシーンでは馬だけでいて、ニューオリンズでは荷車を引き、1つ前にマンハッタンでは鳥の山車を引いていた二頭のように思いますが?< /span>
36)抱き合っているカップルがあります。恋人同士でしょう。『ウエストサイド物語』のトニーとマリアだと思います。非常階段で「Tonight」を歌いながらのデートでした。
West side story Tonight(動画です)
37)教会の裏では、花を持って神父さんと一緒にお墓参りをしている人がいます。
ただ、セント・パトリック大聖堂は、マンハッタンの5番街に摩天楼に囲まれてあるわけですから、教会に墓地があるとは思われません。
クイーンズにカルヴァリ共同墓地(Calvary Cemetery, Queens)があります。セント・パトリック大聖堂が管理しているようです。マンハッタンの摩天楼を臨む墓地です。この墓地のイメージなのかなと思います。
ただ、墓地の雰囲気としては、Long Islandにある、墓地の方がしっくり来ます。
38)4人組で管楽器の演奏をしています。一番左の人の人の楽器はチューバでしょうか?
39)その音に耳をすますかのように、犬が座っています。これはビクターのマークになっているニッパー(Nipper)のようです。
亡くなった主人の声が聞こえてくる、蓄音機に耳を傾けています。安野さんは、蓄音機のスピーカーの代わりにチューバを用意したというわけです。
42)屋台が出ています。FRANKFURTERと書いてあります。フランクフルト風ソーセージということです。そして、それを使ってのホットドッグを売っているんですね。お客さんはセーラー服を着た水兵さんですかね。
ちなみに、なんで「Hot-Dog 熱い犬」なのか。フランクフルトソーセージをダックスフントに見立てたのです。そのソーセージを暖めて、手で持てるようにパンにはさんだ訳です。そして、ある人が原稿を書くのにDachshundの綴りが思い出せずに、Hot-Dog と書いてしまったのが、始まりだとか。ここから、犬の肉を使っているのだとの「都市伝説」が生まれたのだそうです。
44)木の下には似顔絵が飾られています。ホットドッグやさんの青い傘の所にいるのが、J・F・ケネディ大統領 (John Fitzgerald Kennedy )、そこから右に、キング牧師(Martin Luther King, Jr)、リンカーン大統領(Abraham Lincoln)、ワシントン大統領(George Washington)、ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)でしょう。
ケネディー大統領はアイルランド系移民の子孫で、アメリカ史上唯一のカトリック教徒の大統領です。セント・パトリック大聖堂はアイルランド系の教会。ですから、このシーンに出てくるのはふさわしいです。そして、ケネディー大統領は、公民権運動に積極的な政治家で、上院議員時代からキング牧師などの運動を支援しています。
キング牧師は、アメリカ人公民権運動の指導者でプロテスタントバプティスト派の牧師です。1964年公民権法(Civil Rights Act)を制定させます。1963年のワシントン大行進で行われた「I have a dream」は、歴史に残る名演説です。1964年ノーベル平和賞受賞者。「I have a dream演説」は、リンカーン記念堂の銅像の前で、独立宣言と奴隷解放宣言がアメリカ国民に約束した正義の実行を迫りました。
演説の100年前、1862年9月にエイブラハム・リンカーン大統領によって奴隷解放宣言に署名したのです。
奴隷解放宣言の根拠になった、独立宣言を起草したのが、ベンジャミン・フランクリンであり、初代大統領がワシントンというわけです。見事な繋がりです。
リンカーンもキングもケネディーも暗殺されたという悲しいつながりも有ります。また、ケネディはアメリカの50セント硬貨、リンカーンは5ドル紙幣、ワシントンは1ドル紙幣、フランクリンは100ドル紙幣の肖像画になっているというつながりもあります。
45)さてケネディー大統領の左側はと� �うと、アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)です。その左ははっきりしませんが・・・エリ・ヴィーゼル(Elie Wiesel)ではないかと思います。
アインシュタインは、ユダヤ系アメリカ人です。ドイツに生まれましたが、ナチスのユダヤ人迫害を逃れてアメリカに亡命しました。このページの主題にふさわしいと思います。物理学者で、相対性理論をはじめとして数々の革命的な理論を導き出した人でノーベル物理学賞を受賞しています。
エリ・ヴィゼールは、ルーマニア出身でホロコーストを自らが体験したユダヤ系アメリカ人です。1986年にノーベル平和賞を受賞しています。安野さんがアメリカ編を描いたのが1983年というのが微妙です。
エジソンとの説もあります、エジソンの方がにているようにすが、髪の分け方が違うのと、アインシュタインとの繋がりが思いつかないのです。
このシーン全体について
似顔絵は、黒人解放の功労者が並べてありますし、ケネディー大統領は、初めてアイルランド系のカソリック教徒で大統領になった人です。教会は、アイルランド系の人たちが設立した教会です。アイルランド系の人たちは、プロテスタント優先の合衆国で、自らの宗教を隠さなければならなかった歴史もあります。また、ウエストサイド物語の主役たちは、イタリア系とプエルトリコ系で白人ではあっても、被差別の状況におかれたグループです。
さらに、アインシュタインやヴィーゼルは、ユダヤ人としてドイツで迫害されてアメリカにやってきた人です。人種差別と闘う人たちがこのシーンの主題だったのでしょう。
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